「日本のへそ」西脇市の岡之山の麓に佇むtamaki niimeのShop(直営店)が先月、改装工事を経てリニューアルオープンした。

以前は壁だった部分に扉と窓が大きく広く取られ、色とりどりのショールが柔らかく、カーテンのように微風にそよぎ、陽射しを透過させて輝く。

そんな室内に代名詞であるショールやパンツ、ワンピース、カットソーなど以前からの定番人気作品に加えて、コロナ禍にいち早く対応し発表された一点モノのオリジナルマスクであるタマスクのヴァリエーション豊かなラインナップ、そしてより日常使いに寄り添う傘や帽子、レッグカバー、靴等々豊富なアイテムがゆったりと色合いごとに提案・展示されている。

包み隠さないそのモノづくりの姿勢を反映するかのように格別の開放感に溢れる、有り体に言えば、“開けっ広げ”な空間。常に自然体で、ありのままの美しさに価値を置くtamaki niimeらしさがより表現された、伸びやかで気持ちのよいスペースが出現した。

昨年の早春にShop&Labの周囲に植え付けられた樹木も、一年と少しの時を経てその植生が今やすっかり建物や辺りの景観と馴染み、一体化している。

外の自然とShopとLabと。それぞれの垣根や境目がどんどんとなくなり、風通しのよい循環が生まれてゆく。新型コロナ禍をきっかけにして、tamaki niimeの作品を魅せる場でありながらも人間と生き物にとってのベーシックな心地よさの追求と具現化をさらに一歩進めた空間となっている印象だ。

広報を担当する藤本隆太さんにShop内を案内してもらいながら話を聞いた。

「ここを世界で一番気持ちいい場所にしたい、という想いが玉木にとっての大きなモチベーションになっています。今回の改装はそのための第一歩であり、この状況であえて新たに改装をしようというのは、まさに“tamaki niimeらしさ”だと思うんです。新型コロナをきっかけとして、あえて今の状況をプラスの方向で捉え、その動きをどんどんと発信してゆく。それに対してお客様が反応して下さる流れが出来てきていると感じます。」

再びShopを開くにあたっては「密」な状況になりやすい週末を避け、平日の月曜日を選び、ゆっくりとした再始動を心掛けた。

「再オープンを愉しみにして来ていただいたお客様からのすごく変わったね、本当に愉しい、というお声を現場で耳にして。今、テレビや新聞のニュースなどでも前向きになれる話題に乏しいなかで、ポジティヴな、気持ちを盛り上げるようなきっかけづくりのひとつにはなっているのではないかなと思えます。」

単なる再開ではない、コロナ禍の状況に対応しつつ、以前から地球環境を見据える“tamaki niimeらしさ”を突き詰めた上でのShopの新しい展開は、訪れる人の気持ちを前向きにしてくれるメッセージを含んでいる。

「これからどうやって動いていけばいいのか?誰も答えを持っていない状況の中で、こうして自分たちが動いているということが、他の方たちにとっても何か考えるきっかけになれば。今行動しても大丈夫なんだ、と。ポジティヴなメッセージを発信することでより愉しいことが繋がっていくのかなと。」

そう語る藤本さんの表情はどこまでも穏やかでありながら深い確信に満ちていた。

玉木新雌さんに想いを聞いてみる。今回のShop改装の直接のきっかけは、新型コロナの影響により「密」を避ける状況になったことだが、窓や扉を大きく取って周囲の景色の良さを顧客とも共有したいという想いは早くから玉木さんの胸の内にあったという。

「これまでShopの売り上げが好調な中、改装に必要な10日間もの休みを取るタイミングを見出せないでいたんですが、やるなら今だと決行出来たんです。」

今年に入って自社のwebで始めたOnline Shopの売り上げが伸びていることにより出荷業務のためのスペースを拡張し、顧客に回遊してもらうShop部分とは布と作品展示の棚で緩やかに仕切りを設けることにした。

「外のような風通しの良い空間にするために、窓と扉はなるべく大きくたくさんに。今回、それ以外はきっちりとは計画せずに、内装も現場に立って一晩ごとにひとつひとつ考えていったんです。最終的にこのカタチに着地出来た。」

建物が染色工場だった頃に使われていた糸を運ぶための古い台車10台を譲り受けてストックしておいたのを、可動式の作品のディスプレイ用の棚として蘇らせた。

玉木さんの故郷である福井・勝山産の木を用いた展示棚も引き続き再利用。

英国の歴史ある映画館でかつて使用されてたという長イスは、以前気に入って購入したものの置き所がなくそのまま眠っていたのを、tamaki niimeの生地を張り替えて、ショールがはためく広々とした窓に向けて設えた。まるで以前からそこにあったかのようにShop内にしっくりと馴染んでいる。

「これまでにちょこちょこ積み上げて来ていたことの集大成が、今回の改装になった。やってみていろんなモノがまるでこの改装のために準備されていたみたいに、うまくハマったんです。これまでリニューアルというと新たに全て購入するというスタンスだったし、色々探したあげく妥協で買い揃えていたところがあったのが、今回は必要なモノが全てあらかじめ手元に用意されてたというか。ショールにしてもカーテンとして使う、こんなに美しい飾り方があったんだと(笑)。フィッティングルームに壁を作らずに布で囲うことにしても。全部が私たちの作品を活かした、ひとつの空間を創ることが出来ました。」

身の回りのモノを全て自分たちの作品で満たしたい、という玉木さんの掲げた理想に一歩近づいたのでは?

「一気に近づいた。インテリアも実際手掛けるとなると開発や商品化のハードルが高いと思ってたのが、あ、こうゆうことかと。いまあるモノを活かせば良いんだと。使い方を考えればショールだってカーテンになりうる、そんな提案を出来たことも良かったなと思っています。私たちは布を創っているんだという原点を、振り返れましたね。」

様々な用途に使える播州織生地の、tamaki niime作品の柔軟性・汎用性の高さがこのShop空間において鮮やかに表現されている。

実店舗が鮮やかな新展開をみせる一方で、このところのOnline Shopの進化ぶりもすさまじい。膨大な数の一点モノの作品たちを瞬時に閲覧でき、ショッピングを愉しむためのあらゆる工夫が凝らされ日々更新が進む。

「もう(作品の)“数”はネットで見れるから、そっちに任そうと。リアルでも数を置いて比べてみた結果、その方が見やすいと思ったから。やっぱり実際に実物を手に取って触れてみたい・身につけてみたいというお客様にはこちらに来て頂ければ。フィット感を確かめた上で色のヴァリエーションはネットでと、リアルと両方でチェックも出来ます。そこは連動させようと、Online Shopで公開してる作品もShopの隣にストックしているんですよ。」

リアルとオンラインそれぞれの作品の見せ方・役割分担が徹底して考え抜かれ、両輪となって日々顧客に向け届けてゆくというのもtamaki niimeらしい。

もうひとつ訪れる者の目を引くのは、ShopからLabが見渡せる範囲が倍になり、いっそうワイドになったことだ。

「これも以前からずっと魅せたいと思っていたことですね。Labがスコーンッと見渡せるから良いなと。たくさんの方に来ていただきたいけれども、Shopが混み合って「密」にならないように、分散してLabを観ていただいたり、外で過ごしていただくことも大事だなと思うんです。去年植えた植物たちがようやく自然な感じになって来たので、屋外のイスも増やして。“過ごす”という意味で、ほっこりと休憩してもらう時間を創れたら。」

作品と出会う場Shopとモノづくりの現場Lab、そして周囲の豊かな自然環境。それらを回遊しながら開放的な“niime空間”でひとときを過ごす。それは、いっそうナチュラルに私たちの日常に寄り添う、tamaki niimeからの暮らし丸ごとの提案なのだと思えた。